エースナイン対談2話目

【対談】sogliaやCOOCHUCAMPを生んだデザイナー、佐井氏を成功に導く3の言葉

エースナインとコロモビトの対談

こんにちは、コロモビト.です。
soglia(ソリア)、COOCHUCAMP(クーチューキャンプ)などの人気ブランドを手がけるエースナインの代表兼デザイナー、佐井氏のインタビュー第2話です。

雨空が続く梅雨時季でしたが、この日は突き抜けるような空が拡がる晴天。
雲を吹き飛ばすような快活さと、若草のようにやわらかな印象を合わせ持つ佐井氏。

前回は複数のブランドを運営する戦略についてお話いただきました。

(第1話はコチラ→【対談】sogliaやCOOCHUCAMPを生んだ、エースナインを徹底リポート

今回は、デザイナー佐井氏は何が好きで、何に影響され、何を吸収しているのか。
ブランドを立ち上げて約10年。ブランドとともに成長を続けるデザイナーに徹底フォーカスした内容をお届けします。

エースナイン佐井氏と足立の対談

登場人物 プロフィール

佐井 洋児(写真左)
INSTAGRAM:@acenine3142
1980年生まれ。株式会社エースナイン代表兼デザイナー。

足立 太(写真右)
1987年生まれ。ROCOCOのモデル兼コロモビト.執筆者

デザイナーの好きなモノ・コト・ヒト

― 足立 ―
どんな服を着ることが多いですか?

― 佐井 ―
ほとんど古着しか着ない。と言っていいほど古着ばっかりですね。
夏はバンTを着ることが多いです。

新品の服だとギャルソンが好きです。
ギャルソンに対する憧れがずっとあるんで、どういうモノをつくっているのか、毎シーズンチェックしています。
ギャルソンは僕にとってはトップ(頂点)のブランドですね。

あと、僕は本当に「服一筋」なんで、服以外にお金を使うことがあまりないんです。
例えばクルマが好きとか、お酒をしょっちゅう飲みに行くとか、すごく高価な時計をしているとか、そういうのがないんですよ。

自分へのご褒美でアクセサリーを買ったりするコトはありますけど、基本的に服関係ですべて使ってるといった感じです。

本当に服が好きなんです。

エースナイン佐井氏のスナップ
佐井氏をオフィス近くの公園でスナップ。
色を3色以下に抑えるのがポイントだそうで、キャップの色合わせもバッチリ。

― 足立 ―
休みの日はどんなことをしていますか?

― 佐井 ―
今は子どもが小さいので、子どもと公園にいったりすることが多いですね。
子どもが好きなんですよ。

― 足立 ―
何かお子さんがいたから気づいたコトや、影響を受けたコトなどはありますか?

― 佐井 ―
そうですねぇ~。お母さんてえらいなぁと思います。
特に子育てしながら働いてるお母さんって、えらいなぁって感じるようになりました。
子育てをしながら、仕事もして。ほんまに大変だと思うんですよ。

はたしてデザイナーは好きなモノを作っているのか?

― 足立 ―
sogliaのニットセーターやCOOCHUCAMPのショーツなどの人気アイテムを生み出していますが、
服作りで意識しているところを教えてください。

― 佐井 ―
バランス感は特に意識しています。
自分の感覚で、良いと思うモノだけを作っているというよりは、
さっきお話したような、
価格帯とのバランスを取りながら作るコトを心がけています。

(※第1話で語っていただいた内容です)

自分が良いなと思うモノを突き詰めて作るだけではやっていけないですからね。そこのバランスですかね。

― 足立 ―
思いっきり好きな服を作ってみたい!とは思いますか?

― 佐井 ―
やっぱり思いますよ。
デザインや形だけでなく、極端に言ったらカラーバリエーションなんかもそうですね。
例えば「派手なピンクを着たいし作りたい」と思っても、需要やトレンドを考えると難しくてあきらめたりとか。
色ひとつをとってもそういうのはあります。

グリーンだったり原色っぽい色も僕は好きなんですけど、どうしても求められる色って、ネイビー、カーキ、ベージュ、ブラック、ホワイト、みたいなベーシックな色になってしまう。
そういうのも自分なりに理解しながら、差し色で色物をやってみたりとか。

こういう深いグリーンも好きなんですけどねぇ。このトーンはなかなか難しいと思いますよ。

例えばSOGLIAのGTⅡのミントグリーンはグリーン系の差し色ですけど、トレンド的にも取り入れやすい色を作ったつもりです。

(※GTⅡについても詳しく語っていただいたので、第三話で紹介します)

服を指さす佐井氏

― 足立 ―
個人的に気になったのでお訊ねしたいのですが、バス釣りするんですか?
棚にある”BASS PRO SHOP”っていうロゴのオレンジ色のキャップが気になっちゃって。

― 佐井 ―
釣りは~、しないです(笑)
昔はよく海釣りしていたんですけど、オコゼに刺されて以来しなくなっちゃいました。
めちゃくちゃ腫れたんですよ(笑)

― 足立 ―
パンっパンに腫れるらしいですね(笑)

10年間デザイナーを支え続ける言葉

― 足立 ―
約10年間も会社やブランドを成長させるのは大変だと思うのですが、
好きな言葉やご自身の哲学などがあれば教えてください。

― 佐井 ―
毎日継続するコト」と「努力するコト」です。
これはずーっと毎日意識してやっています。
何かを続けるのはとても大変で大切なコトなので、子どもにも伝えていきたいと思っています。

こないだ子どもと
「1ヶ月キャッチボールチャレンジ」と称して、
キャッチボールを毎日1時間やったらどれだけできるようになるか、っていうチャレンジをしたんですよ。
「継続するコトの大切さ」と「努力し続けるコトの難しさ」を感じてほしくて。

YouTubeを何回もいっしょに観て勉強しました。
毎日練習しても3週間ぐらいまでは、しょっちゅう顔やお腹でボールを受けていました。
本人はそれが怖かったみたいで、余計に楽しくなかったんでしょうね。
キャッチボールを続けるのは痛いし、しんどかったと思います。

途中で、軟球からやわらか軟球にボールを変えて、恐怖感をやわらげてあげたり。
そうやっていっしょに工夫しながら1ヶ月間がんばり続け、キャッチボールできるようになりました。

怖くてやりたくないという中で、毎日継続するコトの難しさや、大切さを教えるのは大変でしたけど、出来るようになった時の喜びに勝てるものはないと思います。

そして、継続するコトの難しさや大変さを、彼自身が一番感じたと思います。
僕は教えることの難しさを感じました。

彼も小さいことでも何かを自分の手で出来るようになることで少しずつ自信をつけていく。
それはきっと大人も同じです。

どんなコトであっても力をつけようと思ったら小さな成功を積み重ねていかないといけない。
次の1ヶ月チャレンジは何にしようか検討中です。

― 足立 ―
すごく良いお話ですね。
キャッチボールにそんなストーリーがあったなんて!

引用:@acenine3142

― 佐井 ―
継続するコト」と「努力するコト」。
それに繋がるんですけど、僕は松井秀喜選手がすごく好きなんです。
松井選手が星稜の野球部のときから甲子園に観に行ってたくらいで。
なぜ好きかって、すごい努力家なんですよ。

松井選手の言葉で好きなモノが3つあって

神様は頑張ったヒトや苦しんだヒトに、最後は微笑んでくれる

神様は楽をしているヒト楽をしていい結果を残そうとしているヒトなげやりになっているヒトには最終的には微笑まない

あと、

ズルはできない、俺(自分自身)がみてるから

というのがあるんです。

毎日何かを続けるというのはすごく大変で、ちょっとラクしようかなぁって思うコトもたくさんあるんですけど、そんなとき、この言葉がいつも出てきます。

特に「ズルはできない!俺がみてるから」っていうのが僕にすごい刺さってます。
「ここでがんばらないと!」と自分自身を奮い立たせるんです。
僕と松井選手では内容がすこし違うとは思いますが(笑)

ほかにも

「”努力できる”ということは才能である

っていうのもすごくいい言葉ですね。

僕らみたいな(自分でブランドを運営する)ヒトは才能があれば良いんですけどね。
僕はどっちかと言うと才能があるほうじゃないと思うんので、努力して初めて人並みになれるっていう感覚。
努力を怠ってしまうとドンドン置いてかれると思ってるんで、毎日努力しないといけないと胸に刻んでいます。

佐井氏との対談

逆に、自分でブランドをするっていうことは、それだけ簡単なコトではないんですよね。
全てが自分次第なんで。

ブランドの結果が出ないと継続できないし、生活ができない。

だから常に何かを考えとかないといけないんですけど、悩む時間が長くなっていくと気持ちが健康じゃなくなってくるコトもあります。いわゆる鬱のような。

それを乗り切る方法として、気持ちを安定させるなにかを見つけるコトが大事だと思っています。

僕の場合は気持ちを安定させるために、からだを動かしたりとかトレーニングしたり。
からだを鍛えることで心を整えるというか、それを始める事で一日のスタート地点に立てるというか。
そういったこともあって、毎朝10km走るか、スポーツジムでからだを鍛えるかしています。

― 足立 ―
じゅ、じゅっキロですか!?

― 佐井 ―
それも始めからは走れませんから、継続のちからですよね。
10km走ることが大事なんじゃないんです、
10kmを走るのを続けるコトが重要なんです。

しんどいなぁと思うコトももちろんあります。
お付き合いで飲みにいった次の日とか、雨がふりそうな日とか。でもそこで辞めてしまったら終わってしまうと思うんで、そういうときにさっきの言葉を思い出すんです。
ズルはできない、俺がみてるから」と。

逆に言うと、そこまでしないと僕はダメということです。
ほんまやったらそこまでしなくてもできる人が一番素晴らしいと思います。

― 足立 ―
すごく良いお話をありがとうございます。
ブランドや会社を成長させるには「努力するコト」と「継続するコト」が重要なんですね!

エースナイン佐井氏

最後に

普段訊けない、アパレルメーカーのエースナイン代表兼デザイナー、佐井氏の好きなモノや影響されたモノなど、デザイナーとしての部分を掘り下げて教えて頂きました。

次回は佐井氏がデザインするSOGLIAオリジナル生地のGTⅡ、通称”ゴツゴツ“を大解剖します。

Tシャツは6オンス以上でヘビーウェイトと呼ばれるところ、GTⅡは14オンスのマックスウェイト。その誕生秘話に迫ります。

お楽しみに!

あだち

端正なルックスとは裏腹にユーモア精神に溢れ、社内に笑いを巻き起こす男。スケボー通勤で有名。

趣味:ライブ/フェス/スケボー