こんにちは。コロモビトです。
梅雨シーズンを前に雨の日に欠かせない雨具「傘」について、
前回は前編として「傘の起源~世界への普及・日本伝来」を深堀してきました。
今回は後編の「折り畳み傘の誕生」です。
まだ前編をご覧になられていない方は、ぜひ前編からお楽しみください。
それでは後編のスタートです。
傘の誕生~普及までダイジェスト
折り畳み傘の誕生に迫る前に、傘の起源・世界への普及まで簡単に振り返りたいと思います。
・世界最古の記録は、約4000年前の古代エジプトなどの壁画に傘をさしている姿が残されており、主に神具として使われていました。
・13世紀になると、現在のような開閉式の傘がイタリアで発明され、当時はフレームに鮫の骨や木などが採用されていました。当時は雨具としてではなく日傘としての用途が主でした。
・1851年、U字断面スチールフレームの誕生をきっかけに、軽量かつ丈夫な傘の製造が可能となり、世界へ普及することになります。
折り畳み傘の発明
折り畳み傘の生みの親、Hans Haupt氏(1898-1954)
引用:knirps
世界初の折り畳み傘は、ドイツのエンジニアHans Haupt(ハンス・ハウプト)によって1928年に発明されます。
ハンスは、戦争による負傷で足が悪く、雨が降りそうな外出時には片手に杖、もう一方の手には長傘を持たなくてはなりませんでした。
不便に感じたハンスは「ポケットに入るくらい小さな傘を作れないだろうか」と考えます。
1928年にハンスは折り畳み傘の構造を考案し、同年3月16日に折り畳み傘の特許を取得。
ついに折り畳み傘の発明に成功したハンスはその傘を「Knirps/クニルプス」(英語で“little fellow”日本語では“小さな仲間”の意味)と名付けました。
折り畳み傘の普及
Knirpsは革新的な製品と新しい宣伝広告により、雨の季節だけではなく、一年を通して人々に愛されるブランドへ急成長していきました
引用:knirps
1928年ハンスの考案した構造を基にドイツのブレンシェフ社(当時)が「Knirps」のブランド名で、世界で初めて折り畳み傘の生産を開始。
発売と同時に「Knirps」はドイツ国内にとどまらず、瞬く間にヨーロッパ中へと広がっていきます。
1950年代に入ると、ドイツの天気予報では雨が降る日を「Knirps Weather」と呼び、自慢の「Knirps」を使うことができる日として親しまれるようにまでなりました。
ドイツでKnirps は折り畳み傘の代名詞に
引用:knirps
現在では、ヨーロッパはもちろん、世界の主要都市のデパートや専門店で、「Knirpsはどこにありますか?」と店員に話しかけると、傘売り場を案内されたり、折り畳み傘をすすめられます。
ドイツでは「Knirps」は折り畳み傘の代名詞となっており、ドイツ語の辞書を開くと「Knirps=折り畳み傘」と表記されています。
日本での折り畳み傘
植木氏出演「なんである アイデアル」のCMは、テレビ広告界初期の傑作として、今でも広告業界の中で語り草として伝えられています
引用:洋がさタイムズ
一方日本では、1950年前後に、いくつかのメーカーが折り畳み傘を開発しています。
その中でも、丸定商店(当時)が1954年に開発した「スプリング式折り畳み傘」は、1回の動作で開閉ができることや植木等さん出演のCMによって国内で爆発的にヒットしました。
日本での1960年代の洋傘市場は年間2500万〜3200万本ほど(ちなみに現在1億3000万本)。
当時丸定商店は市場の3割以上のシェアを占めていたと言われいます。
その後も、新たな構造によるコンパクト化や耐風性の向上など、日本が得意とするブラッシュアップが次々と成されていきます。
引用:仲屋商店
1965年には従来二段折り式だったものを三段折り式に改良、加えて真鍮だった素材はアルミ合金に、生地はナイロンから国産化に成功したポリエステルへの変更など、今日の傘生産の基礎が作られていきました。
近年では、耐風性・撥水性・耐久性・軽量化・コンパクト化など、様々な機能が進化しています。また晴雨兼用傘も増えてきており、遮光性、遮熱性も取り入れた傘が開発されています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ハンス・ハウプト氏の発明よって誕生した折り畳み傘「Knirps」。
「Knirps」の発展は、折り畳み傘の歴史そのものと言っても過言でありません。
そして折り畳み傘の誕生は、トーマス・エジソンが好んで使った名言の一つ「必要は発明の母」を象徴する物語でもありました。
終わりに、折り畳み傘と長傘について面白い調査がありましたので、そちらをご紹介して締めくくりたいと思います。
折り畳み傘・長傘どちらを使う?
「折りたたみ傘、首都圏で高い所有率 神奈川88%、東京86%」
引用: ウェザーニュース
やはり、電車やバスによる通勤・通学の比率が高い首都圏では、折り畳み傘の所有人口が多いようです。ファッションアイテムとしての長傘の存在感よりも、折り畳み傘の利便性を重視している人が多いということかもしれません。
「一番よく使う雨具は約半数が長い傘 男女で使用割合に大きな差」
引用:ウェザーニュース
・長い傘率は女性で高く、男性の1.6倍
・多雨エリアでは長傘の所有割合が高く6割以上。
・通勤・移動手段との相性が良い。
車で移動することが多い地方では、傘を使っても車内にそのまま置くことが可能なため、その都度傘を折り畳必要のある折り畳み傘よりも、長傘を使用する人が多いようですね。
最近では、気候変動・温暖化の影響かもしれませんが、局地的大雨やゲリラ豪雨など、以前に比べて増加傾向にあります。
お気に入りの折り畳み傘があると、急な雨降りも安心ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!