チノトラウザー3兄弟のサムネ

【ROCOizm】チノトラウザー3兄弟ここに見参!

岡山倉敷児島から世界に向けた発信を続けるジーンズブランド、ご存知JAPAN BLUE JEANSのコレクションの中から、あえてデニムではない名作にスポットライトをあててみようと思う。

シルエット・生地・プライスと文句なしのバランスを誇るチノトラウザーたちを紹介しよう。

Slim Tapered French Work Chino Trousers

まずはJB4100 スリムテーパード フレンチワーク チノトラウザーからだ。

あれは10年以上前になるだろうか。空前の美脚ドレスチノブームがあったことをご存知の諸兄も多いだろう。

テーラードジャケットに違和感なくコーディネートできるONスタイル、更にはOFFスタイルでも抜群のラインでこなれ感を演出するドレスチノというジャンルをJAPAN BLUE JEANS的解釈で作り上げたのがこの一本なのである。

元はと言えば第二次大戦後、アメリカ兵たちが日常生活に戻った後も、頑強で機能性に優れ、かつイージーケアで汚れが目立たないカーキトラウザーを手放さず、ワードローブに取り入れたのは必然だった。

そこに目を付けたアメリカントラッドブランドが1960年代初頭に41カーキの無骨な生地やシルエットを洗練させ、上質なチノクロスパンツ、所謂ドレスチノを売り出したのが、このジャンルの始まりなのだろう。

その辺りのアメリカのラギッドなカーキトラウザーを一旦ヨーロッパに持ち込み、エスプリとフレンチワークの要素を加え、そして日本に持ち帰り職人魂を吹き込んだかのような仕上がりとでもいえば伝わるだろうか。

ディティールは外脇はロック割、内はロック片倒しコバステッチ、そしてアングルドポケット、バックポケットは片玉縁で45カーキを踏襲か、細めで少し長めのベルトループ、バックセンターのベルトループは外すことなくど真ん中。

シングルステッチの折り返し幅は3cmとTHEちょうど。前立ては持ち出しは無く、ジップフライ、ウエスト部分が帯付きとこの辺りはフレンチを意識したからなのだろう。

ワタリにほんの少しの余裕を持たせたテーパードラインが美脚シルエットを誘発する。日本人の体形に抜群にフィットする絶妙なラインである。

生地にも少し触れておこうか。

男くささ全開で行くにはコットン100%一択なのだろうが、2%だけポリウレタンを混紡することで雰囲気を損なうことなく格段に履き心地が良くなる。たかが2%されど2%である。

長時間のデスクワークでも移動を伴う出張でも実力を遺憾なく発揮してくれるだろう。

また、特にベージュの色には他とは一味違う隠し味があるようだ。

児島の堀江染工さんがシャディー加工と名付けたこの加工方法は、なんとスレン染料を使って中白染めしているとのことだ。そもそも安定した色を出すのに気をつかうスレン染料なのになおかつ中白加工とは恐れ入る。

非常に安定しにくく色ブレしやすいやり方だが、そこは歴戦の染屋さんだ。ビッタリと仕上げてくる。独特の絶妙な色ムラ感、深みのある色合いはダンディズムを演出してくれることだろう。

ちなみにグレーは別注で作ってもらっている。こちらの生地はまた違う生地だ。絶妙な杢感がポイントの生地だが、詳しくは次のオフィサーパンツで紹介することとしよう。

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Officer Tapered Trousers

2つ目にRJB4600 オフィサー テーパード トラウザーを説明しよう。

ディティールはJB4100を踏襲しつつも、オフィサーらしく味付けしたポイントがいくつかある。バックポケットの左側だけフラップ付きにした。アーミーチノの要素で内容物が落ちないようにとプラスバックスタイルに強弱をつけたかったというのが理由だ。

センタープレスをきかせ、ワタリは窮屈感を取り除き、その分しっかりとテーパードを効かせた。シングルステッチの折り返し幅は2.5cmと控えめ。少し短め設定のレングスと相まってスッキリとこなれた印象に格上げしてくれるだろう。

ミリタリーオフィサーパンツの要素は取り入れながらも現代的なシルエットに落とし込み、ONOFFの対応を可能にした。

生地は高級感のある光沢と発色の良いカラーリングを得るために生機の段階でシルケット加工を施してからの染色をしている。綿とポリエステルの混紡素材の特性を生かすべく、綿サイドとポリエステルサイドの染色濃度の違いにより絶妙な杢感が生まれている。

いわゆるT/Cの強度のある生地ではありながら、硬さを緩和すべく打ち込み本数を絶妙に調整し、ポリウレタンを2%入れることでストレスのない履き心地を演出しているのだ。
もう一度言おう、たかが2%されど2%である。

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2Tuck Office Trousers

最後に末っ子のRJB4660 2タック オフィサートラウザーである。

生地はRJB4600と同じだから割愛しよう。
ディティールの違いは名前からも分かる通りの2タックの部分とバックポケットが両玉縁なのが大きな違いといえるだろう。

最初の方で触れたドレスチノのくだりの部分の少し続きのところだが、1970年代後半、ラルフローレンがアイコニックなスタイルとして提案したネイビーブレザーと2プリーツチノパンの合わせからイメージを沸かせたところもあるといえる。

トラッドにも振れるし、カジュアルにも振れるように太目ではあるものの膨らみすぎないシルエットは、上の二人を見てきた末っ子ならではの世渡り上手さを表しているかのようでもある。

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ここで紹介したパンツはそれぞれのアイテムが、対になるジャケットも用意している。セットアップでコーディネートもやぶさかではない。

今回はデニムではないJAPAN BLUE JEANSの名作とその兄弟(ROCOCO別注)を紹介した。児島という背景があるからこそ随所にエッセンスをちりばめられるのだろう。もろんデニムにも数々の名作がある。

そちらの紹介はまた改めて行うこととしよう。

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